BiC建材LABOニュース Vol.19

KJ-NETから見る建築計画の傾向

弊社サービス全国建築計画物件情報KJ-NET(以後、KJ-NETと略称)から毎月、建築計画の傾向をお伝えします。
KJ-NETデータから見る2021年度の非住宅建物着工延床面積の傾向を説明します。

KJ-NETデータから見る2021年度の非住宅建物着工延床面積

今回は、2021年11月25日まで配信したKJ-NETデータを活用して、2021年度延床700㎡以上の非住宅着工延床面積の状況を説明します。

2021年度 延床700㎡以上の非住宅着工延床面積は、2,481万㎡(2021年11月25日配信時点)

KJ-NET2021年11月25日配信時点での2021年度の延床700㎡以上の非住宅着工延床面積は、2,481万㎡となります。これは、2020年度の同時点で比較すると16万㎡減(対前年度比99.4%)となります。
建物用途別では、物流施設が787万㎡となり、前年度と比較して145万㎡増(対前年度比122.6%)、事務所が259万㎡となり、前年度と比較して46万㎡増(対前年度比121.6%)、医療施設が152万㎡となり、前年度と比較して19万㎡増(対前年度比114.3%)となります。
また、昨年度と比較して20万㎡以上減の建物用途は、複合ビルや商業施設、官公庁となります。

※着工延床面積算出条件
KJ-NETより①全国の700㎡以上の非住宅物件(民間・公共)、②工事種別は 「新築」「増築」「改築」、③工事進捗は「実施設計」「設計完了」「着工」「竣工」を対象に着工年度別で求めました。
また、2021年度は、2021年11月25日配信時点まで集計、2020年度は、2020年11月25日配信時点まで集計しました。

KJ-NETの詳細についてはこちらから  http://www.bic-net.jp/n-kj-net/

業界動向【デベロッパーの動向】

三井不動産、脱炭素社会実現に向けグループ行動計画を策定

三井不動産株式会社(本社:東京都中央区)は、2020年12月に温室効果ガス排出量(GHG)の中長期目標を設定したが、この度、具体的なアクションを実行するべく、2030年度のGHG削減率目標を40%(2019年度比)に引き上げるとともに、2050 年度のネットゼロ達成のため、「脱炭素社会の実現に向けたグループ行動計画(ロードマップ、以下本行動計画)」を策定した。

同社グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連携」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「& EARTH」を掲げ、社会・経済の発展と地球環境の保全に貢献している。近年、温暖化防止のための国際的枠組み「パリ協定」や、2021年4月に政府が脱炭素に向けた新たな目標を掲げるなど、気候変動に対するグローバルな関心と対策の重要性が一層高まっている。こうした流れを受け、 目標達成に向けた包括的かつ具体的な戦略として、本行動計画の作成に至った。

同社グループは本行動計画に基づき、2030年度に向けて、省エネ施策や再生可能エネルギー(再エネ)などの導入施設やメガソーラー事業規模を拡大するとともに、サプライチェーン全体でのCO₂削減に向けたパートナーシップを強化。そして、2050年度を見据えて、洋上風力発電や地熱発電など新技術の活用による創エネ事業の検討・推進やオープンイノベーションなどにより、様々なパートナーと力を合わせて脱炭素社会の実現に取り組んでいく方針。

住友不動産、「住友不動産のグリーン電力プラン」の提案を開始

住友不動産株式会社(本社:東京都新宿区)は、運営する賃貸オフィスビルにおいて、テナント企業ごとのニーズに合わせた最適なグリーン電力プランを提案する体制を構築し、11月16日(火)より入居テナントのうち、1,000社超を対象に『住友不動産のグリーン電力プラン』の提案を開始。
これまで同社は高い環境性能を誇る物件を開発し、竣工後も自社で直接管理するメリットを活かして、4年連続で省エネ取組Sクラス事業者に認定されるなど、ビルの省エネ取組みを強く推進してきた。

2050年カーボンニュートラル実現に向け、賃貸オフィスビルにおける更なる脱炭素取組みが求められるなか、同社は複数入居するテナント企業それぞれのニーズに合わせ、ともに積極的にオフィスの脱炭素化を図るため、ビル単位でなくテナント単位で導入可能なグリーン電力プランを用意した。
複数のテナント企業とともに、同社と東京電力エナジーパートナー株式会社が「脱炭素リードプロジェクト協定」の下、独自に構築したプランをはじめとして、これまでグリーン電力導入手法の検討・実装を行ってきたことによる経験値を生かし、ESG経営を推進するテナント企業を全面的にサポート。

なお、自社ビルと比較して難易度が高いテナントビルの脱炭素を推進するべく、環境省が策定した「リーディングテナント行動指針」でも、建物省エネ化、再生可能エネルギーの活用が中核に据えられ、その方針にも合致する本取組みを通じて、国の定める脱炭素重要課題の解決にも貢献していく。

伊藤忠商事・九電みらいエナジー・東急不動産、愛知県田原市においてバイオマス発電所を建設

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区)は、九電みらいエナジー株式会社(本社:福岡県福岡市)、東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区)と、3社の共同出資による事業運営会社「田原グリーンバイオマス合同会社」を通じて、愛知県田原市臨海工業地域内田原4区において、バイオマス発電所を建設することを決定した。

本事業では、伊藤忠商事が木質ペレットの長期供給を行い、九電みらいエナジーが建設・運転ほか技術全般のサポートを担当、東急不動産が再生可能エネルギー発電事業の運営ノウハウを提供することで長期安定的な事業運営を目指す。なお、発電所の建設および運転に要する資金の一部はプロジェクトファイナンスにより調達する。

愛知県田原市では、環境と共生する豊かで持続する地域づくりを基本理念とする「たはらエコ・ガーデンシティ構想」を推進しており、同社らは、同市における再生可能エネルギー発電事業を通じて本構想に貢献していく。
伊藤忠商事は、中期経営計画の基本方針のひとつに『「SDGs」への貢献・取組強化』を掲げ、再生可能エネルギー関連ビジネスに積極的に取り組んでいる。メガソーラー、自家消費型太陽光発電システム、バイオマス発電および燃料供給、風力発電等の事業の開発・運営に加えて、再生可能エネルギー供給安定化において重要な役割を持つ蓄電池を活用した次世代電力ソリューションの開発を推進していく意向。

●新会社名:田原グリーンバイオマス合同会社
●出資比率:伊藤忠商事 40%、九電みらいエナジー 40%、東急不動産 20%
●所在地:東京都港区北青山2-5-1
●事業内容:電気供給事業
●建設予定地:愛知県田原市白浜2-4-1
●発電容量:50MW/年間発電電力量:約3億4,000万kWh/年(一般家庭約12万世帯分の年間消費電力に相当)
●使用燃料:輸入木質ペレット等
●施工:東洋エンジニアリング株式会社
●運転・保守会社:株式会社東京エネシス
●燃料供給:伊藤忠商事
●国内物流:愛知海運産業株式会社
●オーナーズエンジニアリング:九電みらいエナジー
●着工:2022年11月(予定)、運転開始:2025年4月(予定)

東急不動産、今後開発する住宅全物件で太陽光パネルを標準搭載

東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区)は住宅分野で環境対応を拡大する。今後に同社が開発する分譲マンション「BRANZ(ブランズ)」、高級賃貸マンション「COMFORIA(コンフォリア)」、学生向け賃貸マンション「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」の全物件で太陽光パネルを標準搭載することを決定した。

分譲物件では設置した太陽光パネルで発電した電力を、各物件の日中の共用部電灯分の電力の一部として利用する。 一部の高額分譲物件では太陽光パネルと蓄電池を併設することで再生可能エネルギーの活用効率を向上。また原則、賃貸物件では屋根の上などの空間を同社再エネ事業「ReENE(リエネ)」の太陽光パネル設置場所として貸し出す「PPAモデル」を導入し、再エネの発電量増加を図る。

同社は企業活動に必要な電力100%再生可能エネルギーとする「RE100」の達成目標年度を2025年としており、オフィス・商業施設・ホテル及びリゾート施設など同社が保有する全施設での再エネ切り替えを行っている。今般、住宅事業でも再エネへの切り替え、有効活用を順次進めていく方針。

コラムコーナー

予想外なビックリ講演会

前回は、フィルムメーカー依頼の鈴木エドワード氏を招いた講演会について紹介しましたが、今回は、私の地味で寂しい、でも、ほのぼのとした講演会のお話です。講師は私。依頼先は、『公益財団法人山形県企業振興公社』。同公社は、地元企業の新分野進出や事業拡大、経営改善、技術的な課題解決、等地域企業の経営支援を行う機関です。同公社の専門家登録をしている関係から講演依頼が。講演会の依頼テーマは、『これからの新築住宅動向と空き家対策』。聴講者は、地元の工務店や資材メーカー。講演時間は1時間30分。

この講演テーマを聞けば、それなりの講演会と思われますが、実際には、今も忘れられない開けてビックリな講演会でした。まず、そのビックリとは。講演会場は、山形県北山形駅からローカル線に乗りかえて4つか5つ目の駅で下車。確か無人駅です。周り一帯は田園風景。えっ!こんな場所で講演会。会場はどこ?地図を見ながら線路沿いに数分歩いたら。見えてきました。畑の真ん中に講演会場らしい建物が。古びた木造平屋20坪程の集会場らしい建物。ここで講演会?周りに何も無いんですけど。これが一度目のビックリ。

二度目のビックリは、講演会場らしくない集会場。建物の引き戸玄関を恐る恐る開けると、建物の中は雑然としており、床は所々傷んだ木質床材。天井は雨がシミになったと思える天井材。正面には大きな黒板。真ん中にだるまストーブ。そのストーブを囲むように20脚程の折りたたみパイプ椅子。どう見ても講演会らしい雰囲気無し。引き戸玄関を開ける音に気づいた担当者が、スリッパの音をたてながら、私の方へ。「お待ちしていました。伊藤先生ですか。こちらへ」と、黒板前に置かれたパイプ机とパイプ椅子に私を案内。

「遠いところ、こんな田舎町まで来ていただきありがとうございます」と言って名刺交換。そして、会場で合流するはずだった『公益財団法人山形県企業振興公社』の担当者が急用で来られないとのこと。どうなってるの。本当に講演会をするの。聴講者が本当に来るの。そんな気持を抱きながら講演会の準備に取り掛かる。

ここで、三度目のビックリ。パラパラと聴講者が集まり出し、確か事前確認では20数名と聞いていたが、最終的にその数10数名。そのほとんどが高齢者や高齢者夫婦。工務店や資材メーカーと言っても兼業農家の聴講者。田舎町だから聴講者の多くは知り合い。今まで経験したことのない地味な雰囲気の中、講演会の開催。気持ちはスローダウン。事前準備してきた講演内容の話が伝わらない。マーケティング用語も伝わらない。聴講者は、何を話してるのって顔をして私を見ている。講演内容が悪いのか、聴講者のレベルが低いのか。内心あせりまくりでした。このまま講演会を続けても、しらけるばかりと思い、講演会内容を20分程度で終え、自由討議に切り替えた。

「皆さん、難しい話は終えて、皆さんが日頃悩んでいることを議論しませんか」と話を切り替えたら、議論というよりも相談事が。「このまま工務店を続けて行っても良いのか」「建築資材を売るにはどうしたら良いか」「設計価格の設定が分からない」、等の実務的な話から、「東京に行った子供に帰って来てもらうには」「2世帯住宅にした時のトラブル」「作っている野菜を東京で売れないか」、等私的な話まで、講演会のテーマとは、かけ離れた話で盛り上がった。まるで渥美清が演じているフーテンの寅のような座談会。当初の講演会から外れましたが、和気藹々なほのぼのとした講演会でした。良い経験をさせて頂きました。

ベーシックインフォメーションセンター(株)
代表取締役 伊藤敏郎

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