病院での建材選定

4月もあっという間に過ぎますが、まだ朝晩は冷え込む日が多く、体調管理に気に掛けなければならない日が続きます。弊社では設計事務所へ定期的に訪問しており、今回も設計士とお話させて頂いた内容をお伝えします。

多くの病院ではコスト削減意識が高い

多くの自治体では、その地域を代表するような総合病院が存在しますが、先日、組織系設計事務所の中でも大規模の病院設計を得意とする設計事務所に伺いました。日頃から懇意にして頂いている担当者へアポイントを取り、①内装用の建材と、②高断熱性を特長とする断熱材の提案/評価のヒアリングが目的です。資料を基に、各商品を説明しながら、今後の建築物件で使用出来る余地や、採用するとしたら、どのような部位に使えそうかを伺いました。しかし、商品に対する関心自体は高いものの、病院の内装に掛けられるコストはシビアであり、「病室用の壁クロスでは平米あたり500円程度のビニールクロスを多く求められる」というご意見や、防汚性の高い建材が必要、といったお話を伺いました。

病院は特に機能が重視される建築

病院の多くの部分、例えば一般病棟の内装(ナースセンター、廊下、病室など)では、意匠性を重視した建材の必要性は高くなく、耐久性やメンテナンス性が重視されます。それら建材商品以上に、病院としての機能や利便性が重視されます。それは検査機器であったり、医療機器といった装置類や、それらを活用する為の空間へ多くのコストが費やされます。病院は医療行為を行う為の場所で、治療を受ける患者さんが望むのは、高度な医療施術体制や療養に専念出来る空間です。例えば、透析室では防音性の高い壁材や、輻射熱空調機器が導入され、長時間の透析でも心地良い空間造りが求められます。また、通路部分の床材では、防汚性や清掃性に優れ、車椅子を使用される患者さんでも転がり抵抗が少ない床材が志向されます。床面の弾力性を求める一方で、車椅子でも移動しやすい床材が必要視されており、耐久性や耐薬品性が高く、メンテナンス性も考慮して「目地のない仕様」といったように、それらの様々な要件を満たす床材が選定されています。

意外なニーズも存在

断熱性に優れる新たな建材について伺った際、霊安室の壁面で使用出来る可能性があるとのご意見がありました。霊安室は、不幸にも亡くなった患者さんのご遺体の保管を目的としていますが、火葬場の稼働状況や、葬儀の段取り等が連鎖して、葬儀業者が引き取りに来られるまでの期間が以前より長くなっている地域も多いそうです。棺のような冷蔵機器でご遺体を冷却するものの、他の建築空間からの熱伝導を断つ必要から、厚みがなく熱伝導率の低いパネル状の断熱材ならば、霊安室を囲い込むように使用出来るのではないかとのご意見を伺う事が出来ました。

建築の目的に合わせた建材提案の重要性

設計事務所へ建材の提案を目的として訪問する中で、多く聞く言葉があります。「建材は建築物を構成する重要な材料であるが、建築は建材ありきではなく、その建築物が果たすべき機能や目的に合わせて使うもの」。全くその通りだと思います。ですから、弊社のような外部機関や、建材メーカー様が提案する商品は、対象となる建築物の内容や機能を良く研究した上で、どこへ、どのように採用すれば、どのようなメリットがあるのかを明確にして提案しなければなりません。提案したい個別の建築物に合わせて提案しなければ、徒労に終わるケースが多くなります。ただ、今後の可能性という意味で、設計士へ商品PRする事が重要なのも事実です。物件営業では、対象建築物の研究と、地道な商品提案の継続が大切だとつくづく思います。  

【担当:相馬 義輝】  

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