今回は、2020年に東京五輪を控えて活況を呈しているホテル業界(ホテル運営事業者様、ホテル設計に強みを持つ設計事務所)の状況を知るべく、訪問ヒアリングして、昨今のトレンドやこれまでと異なる業界動向について色々と伺った内容をお伝えしたいと思います。近年、建築用途毎でユニークかつ多様な建築が増加している中で、建築士が建築に込める設計コンセプトや、空間のあり方について訪問ヒアリングし、特に印象に残ったお話をお伝えしたいと思います。
大手ビジネスホテルは急ピッチで客室拡大

ビジネスホテルと言えば、比較的宿泊コストが安く、全国展開している事業者に馴染みがあると思います。某大手ホテル事業者様は、今期中(2020年3月末)までに国内客室10万室を目標に急ピッチで開業ラッシュを進めています。設計業務は外部の設計事務所へ依頼されているのですが、とにかく多忙、との事でした。独自の客室仕様や設備仕様を設定して画一化を進められており、自社規格品については直接的にメーカーとも打ち合わせもされています。メーカーから見ても大手ホテル事業者様は取引のスケールメリットがあるのでお互いに良い関係性にあるそうです。
尽きないインバウンド需要と求められるホテルのかたち

最近のホテル建築について、多くの設計士から「インバウンド向けが多い」と伺っています。また、ホテルの内容もアパートメントホテルが増加している、との事です。アパートメントホテルは海外旅行客が1~2週間程度の滞在期間で日本旅行を楽しむ為のホテルで、4~5名程度の宿泊が可能な客室タイプが一般的だそうです。アパートメントホテルの事はよく知らなかったのですが、その名が示す通り、アパートタイプなので共用部分がない。中には簡易的なエントランスがある物件もあるそうですが、海外旅行客は安価な宿泊料金を求める傾向にあり、エントランスを設ける必要性も低いそうです。確かに、日中は外出してしまうし、ホテルで寛ぐ目的でなければ、ホテルの共用部分や内装にコストをかける必要性は低いのかも知れません。
日本にくる目的にも変化が表れている

これまでの海外旅行客は、「インバウンド」という言葉に代表されるように、日本国内で高価なブランド品や、安価な消耗品でも大量に買い物をする「国内消費型」の海外旅行客が多い傾向にありました。しかし、最近はどうやら日本に来る目的に変化が起こっているようです。 ある設計士の方から、「雪国でアパートメントホテルの需要が多くなってきていて、『日本の雪』を見たくて来日する海外旅行者が増えているようだ」とのお話がありました。それは、買い物目的中心の海外旅行客から、日本の情緒や風情を楽しみたい、と考える海外旅行者が増えてきているのではないか、と感じられる現象ではないでしょうか。日本の楽しみ方も、徐々に奥深いものになっていく気がします。
【担当:相馬 義輝】