梅雨が明けた途端、尋常ではない最高気温に覆われている日本列島。そのような環境下にあっても、引き続き設計事務所へ足しげく訪問させて頂いております。今回も設計士とお話させて頂いた内容をお伝えします。
多くの飲食店の内装は機能性廉価志向が進む

飲食店の内装は、設計士が施主指定のデザイン事務所や施主から委任されて内装をコーディネートする事業者様と協業しながら進めていくケースが散見されます。その一方で、全国的に多くのチェーン店を有するような、客単価が比較的安価な飲食事業者は、店舗内装に多くのコストを掛けずに機能性を重視する傾向。採用する建材や内装材も規格化が進められており、新たな建材や内装材をスペックインする事は容易ではありません。ただ、そうは言っても、飲食事業者はこれまでにない機能性や意匠性、特長のある建材について情報のアンテナを張っているのは事実です。
高級建材を積極的に採用する飲食店

飲食店の中には、機能性だけでなく、意匠性の高い建材を多く採用したいと考える事業者も見られます。全国展開している大手高級焼肉店では、意匠性の高いガラス建材を積極的に採用しています。その多くが特注品であったり、他の建築用途では中々採用出来ないような高額なガラス建材を採用しています。「多くのお金を払って来店されるお客様に対して、美味しい食事と快適な空間で寛いで貰いたい」という施主の意向が大きな要因ですが、それだけでなく、実用性も計算された上での建材選定です。焼肉店では換気設備で排煙していますが、どうしても空気中の油分が多くなり、店舗内装を徐々に汚していきます。壁紙や木板は油分を吸着してしまい、油汚れが拭き取れません。そこで、洗剤で拭き取るだけで汚れが落としやすい「ガラスパーテーション」や「ガラス製の内装材」を多く採用する理由にもなっています。
客層によってはタイル内装にする飲食店も

高級な飲食店舗でも、商圏によっては客層も大きく異なり、ガラス製の内装材では都合が悪い飲食店もあります。都内で言えば、赤坂や銀座といった商圏の客層は食事を中心に楽しみながらアルコールを嗜む傾向にあり、それほど多くのアルコールを摂らないそうです。しかし、そうでない商圏では、高級なガラス建材を積極的に採用出来ない理由が出てきます。新宿や歌舞伎町といった繁華街的な商圏ではアルコールと店員の接客を中心に楽しみ、泥酔するお客様も多く居て、高価なガラス建材は破損される危険性があります。過失だとしても、ガラス建材は破損しやすく、修復も困難です。お客様の怪我にもなりかねないので、大理石調の強度が高いタイル内装材を採用せざるを得ない、とのお話を伺いました。確かにタイルであれば、故意でなければ簡単に破損せず、客層に合わせて内装材を選定する工夫を垣間見る機会となりました。
【担当:相馬 義輝】