いつの間にか季節が秋に移り変わり、日没時間が早くなった事に驚かされる今日この頃ですが、引き続き設計事務所へ足しげく訪問させて頂いております。今回も設計士とお話させて頂いた内容をお伝えします。
オフィスビルの需要はどうなる?
2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)とそのパンデミックは、瞬く間に拡大し、国内では2020年4月7日に非常事態宣言が発令されました。それに呼応するように、多くの企業で準備不足が否めないまま在宅勤務のシフトが組まれ、これまでの働き方と異なる「ニューノーマル」が幕を開けました。この事はCOVID-19によって生じた変化と捉えられますが、ワークスタイルの変化という意味では、必ずしもそれだけではないと考えられる設計士もおられます。弊社は自主企画調査として昨年に「今後のオフィスの在り方」を実施した際、オフィスのワークスペースを設計する担当者へ訪問面接取材を行いましたが、在宅勤務や働く場所の変化を予見していた設計士が数名いらっしゃいました。そうなると、都心に高額な賃料を支払ってオフィスを構える事業者が減り、オフィスビルの建築需要も目減りするのではないかと推察されていました。ただし、このオフィスビルの減少は、目に見える早さや規模で進むものではなく、社会構造の変化に追随して進むので、傍目には分かりづらい規模の変化になる。また、オフィスビルはワークスペースとしての機能だけでなく、多機能化やコンバージョンにも対応する建築に代わっていくだろうとも仰っておられました。
サテライトオフィスや在宅勤務の増加
これまではターミナルエリアに快適性の高いオフィスを構える事で、優秀な人材を確保・維持できると多くの企業で考えられていました。今後もその傾向は無くならないと思いますが、オフィス構築の実績を多く有する設計士らから「今後は都心の一等地に立派なオフィスを構えるよりも、オフィスそのものの価値以外の部分、業務の内容によって場所を問わず効率性を高める意識が高揚する機運にある。欧米にみられるサテライトオフィス化や、空き家や古民家を改造したオフィスが国内でも増えていくのではないか」と伺いました。サテライトオフィスも「地方都市だけでなく、リゾート地やワーカー個々の都合の良い場所も含まれるし、必ずしも固定ではなく、ローテーションで転勤まで至らない範囲で取り組む事で、ワーカーの抵抗感を和らげる必要性もある」と付け足されていました。
働き方によってオフィスビルの在り方は大きく変容

既存の働き方の変革は必ずしも一方向だけでなく、複数の方向に向けて多様なアプローチで進められ、その中で最も良い変革が選ばれる事から、一緒くたには出来ません。業態や業務内容はもちろんのこと、経営者の思想や企業風土、企業規模、その他の様々な慣例を踏まえつつ、間違いが許されない変革なので時間が掛かるのは当然の事だとも仰っておられました。様々な企業でフリーアドレス制が取り組まれているのは、先ずは既存のワークスタイルを取り外してみたらどのような変化が生じるかを見る意味合いも強いと考えられています。
その当時は今一つピンと来なかったのですが、COVID-19はオフィスの在り方を問う発端であり、後押しになったのではないかとも思います。 様々なリスク回避、今回のような有事とも言える状況下で事業継続性を考えた場合、そのような方向性に向かう事は、むしろ必然なのかも知れません。
【担当:相馬 義輝】