年の瀬も近づき、以前より早い夕暮れと共に霜も降りてきて、肌寒さが身に染みる今日この頃ですが、弊社では引き続き設計事務所へ足しげく訪問させて頂いております。今回も設計士とお話させて頂いた内容をお伝えします。
ホテル案件での設計事務所とデザイン事務所の関係
当初、私が設計事務所を訪問し始めた頃は専門知識も浅く、ホテル案件の内装では他の建築案件と同様に設計事務所が大部分の仕様決定をするのだろう、と思っていましたが、様々な案件で設計事務所へホテル内装についてヒアリングする毎に、施主指定(専属)のインテリアデザイン会社と協業するケースが多いという事実が分かってきました。国内/外資を隔てる事なく、ホテル事業者様は「より快適なホテル空間」を創出する為に、デザイン事業者(インテリアデザインに強みを持つ専門事業者)と、設計事務所(建築全体の設計、建築法規上からの助言、通過空間などインテリアデザインにさほど拘りが低い部分のデザイン)が協業するケースが多いようです。必ずしも全てがそうではないながらも、傾向としてそのような「協業パターン」は設計事務所を訪問する度に言われる事実です。設計施工で受託するゼネコンの設計士から、「今回は●●というインテリアデザイン会社さんが入るんですよ」と伺い、そのインテリアデザイン会社に再訪するケースが常態化しており、さながら「宝(キーマン)探し」のようです。
インテリアデザイン会社の拘り・強み
世界的にも著名なインテリアデザイナーが主宰するインテリアデザイン会社をはじめ、国内には実に多くのインテリアデザイン会社が存在しています。必ずしも建築内装だけで無く、家具や照明、オブジェ等の「居住性や居心地を向上させる要素があるモノ」であれば拘りをもって創作する。そうする事で、宿泊客へ「比類ない心地良さを提供し、また来たくなる空間」を提供する事が出来る。それはインテリアデザイナーにとっての喜びであると同時に、施主であるホテル事業者の利益(反復継続性のある宿泊顧客の獲得)にも繋がります。「居心地の良い空間を提供し続ける」。彼らのプロフェッショナルとしての妥協が無い仕事ぶり、インテリアデザインというクリエイティブで緻密な仕掛けは、彼らが手掛けたホテルに行くことでのみ体感する事が出来ます。
外資系ホテルは特に拘りが高い
外資のホテルを得意とするインテリアデザイナーから伺った話では、海外のシティホテルやラグジュアリーホテルでは、工業的な建材よりも、一品物の建材が好まれるようです。特にラグジュアリーホテルではその拘りが強く、連続するパターン(模様)の建材はつまらないのでNG、現地で該当する建材がない場合は、日本から輸出するケースもある。お話を伺ったインテリアデザイナーの方は、かつて組織系設計事務所でインテリアデザインを担当されていましたが、デザインフィーは組織系設計事務所よりも高額だそうです。それでも施主が専業のデザイン事務所へ反復継続的に依頼してくるのは、これまでの実績や信頼の賜物以外にありません。ホテルの宿泊費は国内のホテル事業者が運営するホテルは2万円前後で宿泊出来ますが、外資系ホテル(ヒルトン、リッツカールトン等)は3万円以上のケースが多い。それでも、年末年始やオンシーズンは予約を取るのが大変で、前年からのリピーターが多いのだとか。今年はCOVID-19の影響で里帰りが出来なかったり、外出の自粛が予見されますが、プロのインテリアデザイナーが快適性に拘って創作した空間で、多くの人が世界に蔓延する病魔に屈することなく2021年を迎えられたら、と願っております。

【担当:相馬 義輝】