建築設計と設備設計

今夏は3年振りのラニーニャ現象発生もあって、酷暑が見込まれています。空調使用による電力不足だけでなく、空梅雨に終わった事もあり、水不足も懸念されています。様々な問題がありますが、弊社では継続的に設計事務所へ地道に訪問し、様々な建材商品のテストマーケティング(ヒアリング)を行っております。

建築設計と設備設計の分担作業

弊社では現在、機能性を特長とする内装建材のメーカー様と、電気系の設備機器のメーカー様から依頼を受けて、それら商品の評価ヒアリングとスペックインの可能性について伺っております。幾つかの商材の評価を建築士へ伺う場合、同時にヒアリング出来ると効率的ですが、内装建材はともかく、設備機器になると建築士は困惑されます。意匠性や性能・機能性であれば建築士でもお答え頂けるのですが、設備機器になると具体的な評価まではなかなか伺いにくいのが実情です。設計事務所によっては、建築設計と設備設計の両方を担当される建築士もおられたり、社内に設備設計グループが別にあって、規模が大きな物件になると、建築設計の担当と設備設計の担当が協業しながら進めていくそうです。

設備設計は機器仕様の広範な知識や理解が必要

設備設計では、設備機器に求める機能や仕様に関する知識が求められ、電気系であれば必要となる電気容量や同時使用率、水栓金具や配管に繋げる機器といった給排水設備になると最大吐水流量や必要となる配管口径等の知識が必要です。それらに精通した設備設計の担当者の知識は、特殊な専門性が求められます。設備といっても実に多様で、その設備機器が空調や給湯等の電気系なのか、電気系と給排水系の要素も加わる設備機器なのか、非常に広範な領域です。

設備機器メーカーは建築士への営業提案に消極的

上記のような事由から、設備機器のメーカー様は設備設計事務所への訪問営業や商品提案を多く行っているようです。設備機器の選定で裁量のある設計担当者へ多くの提案を行うのは必然と言えます。ただ、建築設計の担当者も、意匠的な観点から設備商品を選定する事もあり、建築士もそのような商品提案を望んでいます。

以前に建築設計を担務する建築士が、「ちょうど今、トイレの設計をしているんですが、○○社さんの新しい小便器はV型の攻めたフォルムが格好良くて、使ってみたいと思ってるんですよ。コロナ禍の影響でショールームに中々行けないので、具体的な施工現場をメーカーから聞いて、わざわざ実物を見に行ってきたんですよ」と伺った事もありました。意匠的な観点もさることながら、建築物が新たに建つという情報を早期に把握するのは建築士であり、設備設計も自社内で完結する設計事務所であれば、建築設計事務所にも設備機器の営業提案や、ヒアリングを行う必要性は高いと思います。設計事務所が直接的に建材や設備機器を購入する事はありません。しかし、設備機器の採用に関与する事もある為、営業対象を設備設計事務所へ偏向する事が必ずしも正しいとは言い切れないと感じます。

設備設計にも建材提案を

建築設計に設備機器の提案をする事もさることながら、設備設計にも建材商品の提案をする必要性があるとも思います。実際に設備機器を施工するのはサブコンや工事業者ですが、建築士から見て、配管の取り回しや仕上がりの美しさに拘りを持つ設備設計士や工事業者も多いそうです。それは設備機器の副資材だけの問題ではなく、設備機器を施工する壁材や面材の加工のしやすさと扱いやすさを設備機器の設計士や施工業者へPRし、選定してもらう事も重要だと言えます。実は設備機器を取り付ける壁材に不満や改善して欲しいというニーズがあれば、新たな提案へ繋がるのではないでしょうか。 

【担当:相馬 義輝】  

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