今年は全国的に記録的な酷暑が続き、訪問取材が多い調査員にとってはスタミナ的に厳しい日常です。
弊社は設計事務所へ頻繁に訪問して、様々な建材商品のテストマーケティング(ヒアリング)を行っております。
注目が集まる木材系建材
弊社では木材系の新たな建材商品のテストマーケティングを建材メーカー様から承るケースが増加しています。
林野庁の後押しで政府が主導となり、建築物における木材利用が積極的に進められるようになりましたが、確かに石油由来ではない「木材」を多く利用する事で、脱炭素社会の実現やカーボンニュートラル化、森林資源の循環活用に貢献出来ると思います。各建材メーカー様においては、当初は少し様子見の印象を感じていましたが、ここにきて商品化が活発になっているようです。「ウッドショック」による輸入木材の高止まりが懸念されますが、それでも国産木材の利用も含めて、木材活用の新商品が増加傾向にあります。
設計士も環境負荷の低い建材に関心
直近では、建材メーカー様が新たに開発した新商品(耐火性を付与させた木材系パネル材)のサンプルとカタログを持参して、設計事務所へ訪問しています。アポイントを取る時や、訪問時は設計士の新商品に対する関心度合も高く、想定する使用部位や採用物件での留意点についても貴重なご意見を頂く事があり、木材系建材に対する設計士の関心度合の高さを窺い知る事が出来ます。設計士も、施主へ新しい建材の採用を提案する際は、環境負荷の低い建材を求められるケースもあるそうで、必ずしもコスト偏重といった物件ばかりでもないとの事です。
もちろん、施主の属性(公共/民間、大手デベロッパー~個人施主)と環境意識の高低、予算規模によって採用意向は異なりますが、最近は以前と比較してコストが割高でも環境負荷低減に寄与する建材が求められる傾向が高まっているそうです。ただ、その一方でコスト低廉要求の強い収益物件での採用は難しいとの意見は依然として変わりません。
木材系建材は新規性が打ち出しにくい?
設計事務所へ持参した新たな木材系パネル材については、一定の評価を頂くのですが、是非とも直ぐに採用してみたい、というレベルの評価ではない印象を受けます。それは、既存の耐火性を付与した木材商品(シリカコーティングした商品や不燃薬剤を注入した商品等)との違いや、特段の耐火性能の高さが見出せない、といった指摘からも言える事です。区分毎の耐火に関する大臣認定さえ取得していれば、必要以上の耐火性の高さは設計士にとって魅力に感じ得ないのかも知れません。また、それに比例するコストの割高さも物件採用のネックに感じられている気がします。ほぼ感覚に近いのですが、出来るだけ客観的に、そういったヒアリング時の「空気感」や「設計士の思惑」のようなものも、建材メーカー様にフィードバックする事も重要だと考えています。
非住宅でも木材系建材は多用されていく

天然木や木質調建材の魅力は「柔和な印象で心を落ち着かせる」という点にあるという事は、多くの設計士から聞かれます。住宅以外の住宅に近しい非住宅建築(幼・保育園、高齢者福祉施設)だけでなく、飲食店や商業施設、オフィスビルにおいても木質系の内装材は多用されます。特に飲食店において木質系建材の採用は基本と仰る設計士も多くいます。積み木を代表とする木育玩具で遊んだ子供は想像力が豊かで主体的に物事を考える事が出来るようになるという検証結果を話される設計士もいらっしゃいました。また、大人になっても木に触れる事でストレスを感じにくくなり、心身ともにリラックスできる事から、オフィスPMを手掛ける事業者様から、オフィス空間の中でもエントランスや執務空間の内装だけでなく、オフィス家具や間仕切に木質系の商品を選定する企業が多いとも聞いています。そのような背景から、今後もより一層の木材系の建材やオフィス家具の商品化が望まれます。
【担当:相馬 義輝】