i-Construction(ICT活用工事)の現状とこれから

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はじめに

弊社が展開しております「全国土木工事情報D-NET」おかげさまで土木工事関連企業様をはじめ、工事情報を活用したい幅広い業種の企業様にご利用いただいております。
その中で建設関係以外の分野の企業様から、「i-Constructionって何ですか?」、「ICT活用工事という言葉は聞いたことあるけど実際は?」などのご意見を頂くことがありました。
そこで本ページではi-Construction(ICT活用工事)に関する簡単な解説をしたいと思います。

目次

1.i-Constructionとは
2.i-Constructionに取り組む背景
3.i-Constructionの具体的な取り組み
4.i-Constructionの現状
5.i-Constructionの今後

1.i-Constructionとは

i-Construction(アイ・コンストラクション)とは、建設工事において測量、設計・施工計画、施工、検査の一連の工程において3次元データなどを活用し生産性を飛躍的に向上させようとする取り組みです。

その取り組みの中でもいち早く着手可能で、効果が高いと思われる下記の3つを「トップランナー施策」として定め、2016年度から本格的に推進しています。

ICTの全面的な活用(ICT土木)
規格の標準化(コンクリート工)
施工時期の標準化

参考(国土交通省発行「i-Construction~建設現場の生産性向上の取り組みについて~」平成27年12月公表資料):http://www.mlit.go.jp/common/001113551.pdf

一般的に“i-Construction”というと、ICTの全面的な活用(ICT土木)についてのことですので今回はICTの全面的な活用について説明します。

2.i-Constructionに取り組む背景

2-1. 建設業界の生産性

バブル崩壊後の投資の減少局面では、建設投資が労働者の減少をさらに上回って、ほぼ一貫して労働力過剰となり、省力化につながる建設現場の生産性向上が見送られてきました。

トンネル工事などは、約50年間で生産性を最大10倍に向上したと言われていますが、土工やコンクリート工などはまだまだ改善の余地が残っています。
工事別に技能労働者を振り分けた場合、土工とコンクリート工で全技能労働者の約4割をしめています。それだけ人の手をかけなければならなかったのです。

業界別にみても建設業の生産性は横ばい

2-2.建設業の生産性が低い理由

労働集約型での単品受注生産

製造業などでは1つのモノを繰り返し生産することが多いですが、建設業では受注した現場毎に工事の内容も工期もバラバラで、同じ工事現場というものは存在していません。
また屋外に関係者全員が集まり作業を行うことが求められる為、労働集約性も高く、製造業で行われてきた業務の標準化や仕組み化、単純業務のアウトソースによる人件費削減といった取り組みの実施が困難となっていました。

分業体制の複雑さ

下請への発注を前提とする『多重構造』となっていることに起因する分業体制の複雑さがあります。日本における年間建設投資金額の4分の1は上位50 社の大手ゼネコンが受注していることからも明らかです。

また各種専門工事業者の協力を得ずに工事を進めることは不可能であり、資本規模の小さい業者であっても、完成工事高に占める外注費の割合は4割を以上となっています。受注金額の規模にかかわらず塗装工事・水道工事・躯体工事といった工事の区分ごとの水平構造と、元請け・下請け・孫請けといった上から下への関係性の垂直構造とで細かく分業されていますので、1社が生産性を上げようと努力しただけでは力が及ばない現状があります。

90%以上が中小企業

上記のように大手ゼネコンが頂点のピラミッド構造になっていますが、建設業者全体の90%以上は年商6億円以下かつ従業員10名以下という中小企業や個人事業者が占めていると言われています。さらにその半分以上は地方に散在していて、地域密着型の経営であり、i-ConstructionやBIM・CIM、ドローンといった最先端情報が入ってきづらく、仮に情報が入ってきても新規での技術に投資をする資金的余裕がないため、現状維持になる傾向があります。

2-3.人手不足の深刻化

技能労働者約340万人のうち、今後10年間で約110万人が高齢者を向かえ離職の可能性が高まっている。さらに若年者の入職が少ない(29歳以下は全体の約1割)

この人手不足を解決し、需要と供給のバランスを一致させるには、

①働き手を増やす
②一人当たりの生産性を上げる
の2つの方法があります。

「働き手を増やす」ために外国人労働者の採用も進んでいますが、あくまで期間限定の一時的な雇用であるため、移民政策が全面的に解放されない限り基幹的な労働力とはならず、移民の受け入れに保守的な日本では実現可能性は低いとみられています。

現状、建設業界で長く働く人を増やすためには、3K(キツい、汚い、危険)と言われてきた労働環境を改善し、若者や女性といった建設業界を敬遠しがちだった人材を幅広く招き入れなければなりません。

そこで、政府や国土交通省は新3K(給与、休暇、希望)を掲げます。ICTを活用して省人化・省力化を実現することで、「②一人当たりの生産性を上げる」方向に力を入れています。これがi-Constructionが声高に叫ばれるようになった背景となるのです。

3.i-Constructionの具体的な取り組み

ドローン(UAV、無人航空機)

地上からの遠隔操作、あるいは自律制御によって飛行することができ、無人航空機に機器を搭載することで、3Dデータや測量に必要となるデータや画像を空中から取得することができます。

既存の測量方法では数千地点を測量するのに1週間かかっていましたが、ドローンを用いることで数百万地点の測量を数十分で完了することができます。さらに写真測量により測量データを3Dで生成することができ、設計・施工計画時に必要な土の量を自動算出するなどの省人・省力化にもつながります。

また竣工後の検査においてもドローンを使えば必要な項目を半分にでき、これまでに必要とされていた大量の提出書類が削減されます。一例ですが道路延長工事では検査書類が50分の1に減ると言われています。

建設機械(ICT建機)

ICT建機とは、一般には自動制御(MC)、またはモニターによりガイダンス(MG)機能を有したの建設機械の総称として用いています。

従来の土木工事における建機の操縦は「熟練の技」を必要とする非常に難しい仕事でしたが、自動制御が可能なICT建機により、経験の浅いオペレーターや女性が施工をできるようになります。これにより施工の正確性だけでなく、付近に操縦者以外の人員配置が不要になるので安全性の向上も見込まれます。

CIM

CIMとは”Construction Information Modeling/Management”の略。調査・計画から設計、施工、維持管理までの建設事業に係わる情報を共有し一貫して管理する情報システムを指します。先行していた建築分野におけるBIM(Building Information Modeling/Management)に対して、土木分野での取り組みを日本独自の言葉でCIMといいます。

CIMを導入し設計段階から3Dモデルを用いて議論・検討することで、以前は着工するまで判明することのない課題や潜在的な問題を顕在化させることができます。これにより業務や工事の手戻りを防ぐことができます。また基本的な属性情報も3Dモデルとセットで格納できるため、将来的にはコストや工期の自動算出、維持管理業務の簡易化も期待されています。
また「2023年にはBIM/CIMの原則化」が国土交通省により方針として打ち出されいよいよ来年に迫っています。

遠隔臨場

遠隔臨場とは、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ、スマートフォン、タブレット端末等含む)により撮影した映像と音声を Web 会 議システム等を利用して「段階確認」、「材料確認」、「立会」などを行うというものです。
『臨場』自体が建設現場においての立ち会いなどを意味していますので遠隔臨場は、建設現場に直接行かずに映像と音声を用いて離れていても臨場を行えます。コロナ禍においての感染症対策や働き方改革といった面で活用がなされており、国土交通省が試験的に導入し始めています。2022年3月には「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」が国交省より出されています。

4.i-Constructionの現状

2016年度から始まったi-Constructionも2022年で7年目を迎えました。その間ICT活用が進んだのか見ていきたいと思います。

2020年度の4,617件がピークとなり2021年度は数を減らし4,027件となっています。
今年度2022年度上期1,616件でしたが、前年比で減少傾向になっています。(2021年度上期は1,676件)

ICT活用工事の単純な件数では減少傾向が見られますが、ICT以外の工事を含んだ工事数そのものが2020年度6,787件、 2021年度5,736件と減少しています。ICT活用工事の比率ですと2020年度約68.0%、2021年度約70.2%とほぼ同水準であり工事の少ない2021年度方が伸びてもいるということがわかります。
全体の工事数の中に一定の割合でICT活用工事が発注されるようになり、ICT活用工事のスタンダード化と言えるのではないかと思われます。

・弊社D-NETより2022年度(2022年4月1日~2022年9月30日)の間に公告された土木工事・ICT活用工事、一部開札情報。(公告情報が出されない随意契約・指名競争入札など)
・国の直轄工事(各地方整備局・北海道開発局・沖縄総合事務局・国土技術政策総合研究所)
※2016、2017年度は国土交通省発表の数値。2018~2021年度、2022年度上期は全国土木工事情報D-NETより当社が集計した数値。データは2022年9月末までのデータを使用しております。
※対象の工事種別は「一般土木」「アスファルト舗装」「浚渫」「法面処理」「港湾土木」「維持修繕(ICT活用工事のみ)」となります。
以後の公告の修正や指名競争入札などの公告情報の開示。取得が難しい開札情報の取得により、件数・数値の補正による変動がある場合がございます。今後の発表資料との差異も考えられますのでご了承の上ご覧ください。

5.i-Constructionの今後

工種の拡大

国交省の主導の元、i-Constructionがスタートした2016年度から毎年工種の拡大を行っています。
下図にもある通り、2022年度(令和4年度)からはICT構造物工(橋梁上部・基礎工)、民間等の要望も踏まえ更なる工種拡大がされています。
2023年は橋梁上部、基礎工が拡大される見込みです。
また2023年度は国交省は小規模を除く全ての公共工事におけるBIM/CIM原則適用も予定されており、i-Constructionを構造物工などCIM活用が見込める工事から推し進める狙いが伺えます。

ICT活用工事の国発注から都道府県発注への広がり

国交省の直轄である地方整備局から都道府県、政令指定都市など裾野は広がりつつあります。
弊社D-NETもD-NET都道府県版【関東】として都県発注のICT活用工事を取り扱っていますが、件数が増えています。国交省発注工事が少ない時は関東地方の都県発注のICT活用工事が上回ることもあるくらいです。

しかし工事規模が小さくなっていく市町村のレベルまで広がりきるには、まだ時間と普及への工夫が発注者、施工者、ICT関連機器のメーカーやサービス企業それぞれで必要となってくると思われます。国、都道府県でのICT活用工事のサンプルケースが増えれば、それを応用することで末端への普及が加速され、それに伴う周辺の市場も活況となるでしょう。

終わりに

簡単な解説でしたが、皆様のi-Construction(ICT活用工事)へのご理解の一助になれば幸いです。
また、詳しい情報が国土交通省のICTの全面的な活用ICT導入協議会のページから発信されております。こちらも覗いてみてはいかがでしょうか。
弊社では情報データや調査を通してi-Construction(ICT活用工事)の普及に貢献して参ります。

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