グリーン購入法と公共工事
環境省および国土交通省は、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)に基づき、公共工事で使用される建設資材の見直し・整理を継続的に実施しています。
特に近年は、公共工事分野において「どの建材を環境配慮型として位置づけるか」という点について、関係省庁が連携しながら検討・更新を行う動きが強まっています。
この制度の根幹にある考え方は明確です。
すなわち、
- 環境負荷の小さい建材・工法を公共工事で率先して採用する
- 公共調達をテコにして、環境配慮型建材の市場を育成する
- 結果として、民間工事を含む建設市場全体へ波及させる
という政策的な狙いにあります。
公共工事は、発注量・影響力ともに建設市場において非常に大きな存在です。
そのため、公共工事における調達基準や判断の考え方が変わることは、単なる行政内部のルール変更ではなく、業界全体の「建材選定の物差し」を変えることを意味します。
実際に、環境省・国土交通省は、グリーン購入法に基づく検討の中で、「環境負荷低減効果を有するが、現時点では十分な実績がない建材・工法」についても、継続検討品目(ロングリスト)として整理し、将来的な公共調達への反映を視野に入れる姿勢を示しています。
これは、環境性能の高い建材・工法であるにもかかわらず、短期的な実績のみを基準として判断・排除するのではなく、市場育成や技術成熟のプロセスを含めて段階的に評価していくという、極めて政策的なアプローチといえます。
「選ばれる建材」の条件が変わった
こうしたグリーン購入法の運用や関連通達の積み重ねにより、公共工事・公共性の高い建築プロジェクトにおいて「評価される建材の条件」は大きく変化しています。
今後、特に重視されるのは、次のような観点です。
- CO2削減効果が客観的に説明できること
製造時・施工時・使用段階を含め、どの段階で環境負荷低減に寄与するのかが説明可能であること - リサイクル材・再生材を活用していること
資源循環や廃棄物削減の観点から評価できる材料設計であること - 長寿命で、ライフサイクル全体の環境負荷が低いこと
初期性能だけでなく、更新頻度や維持管理を含めた長期的視点での合理性があること
重要なのは、これらが「環境配慮をアピールするための付加価値」ではなく、調達・設計・採用の場面において“判断材料そのもの”になりつつあるという点です。
従来は、建材選定において
- 強度・耐久性
- コスト
- 施工性
といった「性能・価格中心」の評価が主軸でした。
しかし現在では、それに加えて、制度や通達とどのように整合しているか公共調達の考え方に耐えうる説明性を持っているかといった視点が、製品価値の一部として組み込まれ始めています。
言い換えれば、これからの建材は「性能が良い」だけでは不十分であり、「なぜ公共工事で選ばれ得るのかを説明できる建材」こそが、市場で評価される存在になっていくといえるでしょう。
設計者は「何を基準に」建材を判断すべきか(制度対応時代の設計実務の考え方)
グリーン購入法や脱炭素関連通達の影響により、設計者には従来とは異なる建材選定の視点が求められています。
もはや「性能が良い」「施工実績が多い」だけでは、公共性の高い案件や説明責任を伴うプロジェクトに十分対応できない場面が増えています。
設計者が押さえるべき3つの判断軸
- 制度との整合性が説明できるか
設計段階で問われるのは、「なぜこの建材を選んだのか」を第三者(発注者・行政・審査者)に説明できるかという点です。- グリーン購入法の特定調達品目に該当するか
- 環境配慮型建材としての位置づけが明確か
- CASBEE等の評価制度と親和性があるか
といった要素は、設計判断そのものの裏付けになります。
- 環境性能が“数値・言葉”で整理されているか
設計者自身が環境負荷を詳細に算定する必要はありません。
しかし、- CO2削減効果の考え方
- リサイクル材・ノンフロンといった環境配慮要素
- ライフサイクルでの合理性
が、メーカー資料として整理されているかは重要な判断材料です。
- 施工性・省力化まで含めて評価できるか
働き方改革・人手不足を背景に、「施工のしやすさ」「工期短縮」「省人化」は設計上の重要条件になっています。
環境配慮と同時に、- 軽量で扱いやすい
- プレカット・省施工に対応している
- 下地や部材点数を減らせる
といった特性を持つ建材は、設計者にとって“安全な選択肢”となります。
メーカーは「何を整えておくべきか」(選ばれる建材になるための実務対応)
制度対応が進む中、メーカーに求められる役割も明確になっています。
単に「環境にやさしい」と訴求するだけでは不十分で、設計・発注の現場で使える情報整備が不可欠です。
メーカー側に求められる3つの備え
- 制度文脈で語れる製品情報
製品カタログやWeb情報において、- ・グリーン購入法との関係
- ・環境配慮のポイント(ノンフロン、再生材など)
- ・公共工事での採用を想定した説明
が整理されていることは、設計者の判断を大きく後押しします。
- 「環境性能+施工性」の両立を示すこと
環境性能が高くても、施工が難しければ採用は進みません。
そのため、- ・軽量化
- ・省施工工法
- ・施工マニュアル・標準図の整備
といった実務情報の提供が重要になります。
- 公共性の高い用途への適応実績・想定
学校・庁舎・医療施設など、公共工事・準公共工事を想定した説明や実績がある製品は、制度対応時代において大きな強みになります。
グリーン購入法や脱炭素関連通達の本質は、「建材選定を、個人の判断から制度と結びついた判断へ移行させる」ことにあります。
- ・設計者は、制度と整合した“説明できる選択”を行う
- ・メーカーは、その判断を支える情報と製品設計を行う
この両者が噛み合ったとき、環境配慮型建材は「選ばれにくい特別品」ではなく、 「標準的な選択肢」になります。
そこで今回は、「低炭素型建材」を建材データベースサイト「BiC建材LABO」掲載製品の中からピックアップしました。
<株式会社JSP>建築用高性能断熱材 「ミラフォーム 」/「ミラフォームΛ(ラムダ)」
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- フロン類を使用しないノンフロン発泡の断熱材
- グリーン購入法の特定調達品目(断熱材)に適合
- 高い断熱性能により、建物使用段階でのエネルギー消費削減に寄与
★制度適合・CO₂削減効果・説明性の3点がそろった断熱材
公共工事や公共性の高い建築において、採用理由を明確に説明しやすい製品です。
詳細はこちらから
https://www.bic-net.jp/k-labo/jsp_01/
<アキレス株式会社>ジーワンボード

- 高性能硬質ウレタンフォーム断熱材
- 熱伝導率0.018 W/(m・K)という高い断熱性能
- 経年変化を抑え、長期にわたり安定した省エネ効果を発揮
★「長寿命」「ライフサイクル負荷低減」という3-2の評価軸に合致
単に初期性能が高いだけでなく、建物の運用段階まで含めた環境配慮を説明できる断熱材といえます。
詳細はこちらから
https://www.bic-net.jp/k-labo/achilles_01/
<旭有機材株式会社>ゼロフロン®ER-X

- 地球温暖化係数の低い発泡剤(HFO)を使用
- グリーン購入法適合製品
- 高い断熱性と結露防止効果により、建物の長寿命化・省エネに貢献
★制度対応・低炭素・性能説明の三拍子がそろった断熱材
CASBEE等の評価制度とも親和性が高い製品です。
詳細はこちらから
https://www.bic-net.jp/k-labo/asahiyuukizai_01/
今月のキーワードセレクト
建築設計にまつわるキーワードを毎月1つピックアップ。
建材ポータルサイト「BiC建材LABO」の中から、関連する製品をご紹介します。
●今月のキーワードは【現場の省人化:結束・遠隔・記録(デジタル化)】です。
<マックス株式会社>鉄筋結束機「ツインタイア」

鉄筋コンクリートの建造物に、必ず発生するのが鉄筋の結束作業。
従来それは手作業で行われて、熟練の技術も必要とされ、作業者に多くの負担を強いるものでした。
MAXツインタイアは2本のワイヤで結束するというまったく新しい構造によって、鉄筋結束機に革命をもたらしました。
詳細はこちらから
https://www.bic-net.jp/k-labo/max_01/
<株式会社アークノハラ>遠隔操作遮断機システム

遠隔操作で動作する遮断機と電光掲示板です。通信機能を付加しているため、パソコンやスマートフォンでの操作が可能です。
単品や組み合わせ利用により、災害・異常気象時などにおいて、道路管理者様が抱える様々な課題を解決します。
詳細はこちらから
https://www.bic-net.jp/k-labo/arc-nohara_06/
<野原グループ株式会社>デジタルツインソリューション Matterport

「Matterport(マーターポート)」とは、米Matterport社が提供する、デジタルツインソリューションです。
誰でも簡単に空間を3Dキャプチャでき、独自のCortex AI技術で没入型のバーチャル空間を構築します。
形成した3D空間はWEBで誰でも閲覧可。さらに空間内に様々なコンテンツや情報を埋め込むことにより、物理空間よりも効果的な訴求を与えることができます。
また、3Dモデルやアバターを配置することでデジタルならではの演出ができることも魅力の一つです。
詳細はこちらから
https://www.bic-net.jp/k-labo/nohara-g_03/
当社は40年近い建築業界でのマーケティング活動実績・全国建築計画情報 KJ-NET運用実績を基にした建築業界における様々なデータ・スキル、ネットワークを活かして、建材・設備メーカー様と建築設計士様双方のビジネスニーズをマッチングさせるお手伝いをいたします。