新事業開発、新商品開発を行う場合、外部からのニーズを把握する前に、自社で仮説を創っておかなければ、いくら市場調査を行っても何がニーズかどうか分からない。その仮説を創るための手法はいろいろあるが、弊社は『経営資源の棚卸調査』を行って、取り組むべき新事業開発、新商品開発のテーマを導き出し、そのテーマのニーズを確認している。『経営資源の棚卸調査』とは、「人」「物」「金」「情報」「ブランド」「ネットワーク」の経営資源を、棚から一度卸して再度見直してみようとすることであり、過去に開発中止になった事業や商品も同様である。「人」とは自社社員や協力会社社員のスキル、「物」とは既存商品、既存設備(工場)、「金」とは資金、「ブランド」は企業イメージや商品イメージ、「ネットワーク」は販売先や仕入れ先、などが経営資源となる。
調査の進め方は、1STEP~6STEPの段階があり、1STEPは「プロジェクト推進委員会の設置」で、委員長は社長、または開発部長で、今後の経営ビジョンや経営目標、開発事業や開発商品の方針についてヒヤリングを行い、参加メンバーを決定する。棚卸すると言っても経営ビジョンや経営目標に合わないモノまで棚卸することは時間の無駄である。2STEPは「開発部門」「生産部門」「販売部門」「人事部門」「協力会社」「販売先」「仕入先」の責任者への面談。面談内容は「開発部門」なら優位性のある材料技術や過去に開発して販売に至っていない商品など、「生産部門」なら優れている生産設備技術の内容、「販売部門」なら売れていない商品の理由や販売先の優位性、「人事部門」なら、スキルをもっている人材の確認を行う。「協力会社」「販売先」「仕入先」は、それらの企業の取扱い商品や強みが挙がられる。
3STEPと4STEPはプロジェクト推進委員会のメンバーが参加し、3STEPは面談結果を整理し、SWOT分析を行い、4STEPでは一次評価として、面談した内容から導き出した新事業や新商品開発可能なテーマの絞り込みを行う。その基準は設定されたドメイン内か否か、投入資金上限5億円か否か、経営資源が活用されているか否かである。そこで絞り込まれたテーマが5STEPの二次評価でさらに絞り込まれる。
5STEPの二次評価では絞り込んだテーマの市場調査や公開情報収集活動を行い、そのテーマごとに、市場規模、市場成長性、先発メーカーの規模、市場競合性、差別化の優位性、投資回収期間、3年度で黒字化、シナジー効果、などを参加メンバー達と作り挙げる。6STEPは最終段階で、三次評価として、具体的に取り組むべき新事業、新商品を社長、部長が決定する。そして、新事業計画、新商品開発計画、マーケティング計画、など具体的な事業化、商品化の計画を策定する。

直近で「経営資源の棚卸調査」を行ったのは、防水材メーカーで、1STEP~6STEPまでに掛かった時間は約6ヵ月間を要した。2STEPで面談した人数は約50名。3STEPで整理したテーマ数が約200テーマ。4STEPの一次評価で絞り込んだのが約100テーマ。5STEPの二次評価で絞り込んだのが約50テーマ、6STEPで事業化、商品化に挙がったのが、10テーマ。今その10テーマの内、3テーマが新事業・新商品として展開している。