調査物語

認知症患者数が増え続ける認知症カフェ

“黒いTシャツにグレーのパンツ。黒縁眼鏡をかけた80歳代男性が、朝8時頃に自転車で外出してから家に戻ってきません。心当たりのある方は土浦警察署までご連絡下さい”日曜日夕方6時位に町内放送が流れた。この様な放送が流れたのは、確か2回目である。その放送が流れてから2時間後の8時頃に、無事発見されたと新たな放送が流れて、見つかって良かったと安堵した。どうも認知症老人の様である。家族が心配して警察へ連絡したのだろう。

そこで、認知症患者数を調べてみた。日本における65歳以上の認知症の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人で65歳以上の高齢者約5人に1人が認知症で、2060年には約1100万人で、なんと約3人に1人が認知症と推計されている。認知症患者は何も高齢者とは限らない。働き盛りに発病する人もいる。2020年厚生労働省の調査では、65歳未満の「若年性認知症」患者は、約4万人を数える。もはや「日本国民病」といえる。

当然ながら治療法の確立が急がれるが、薬物療法はいまだに存在しない。特別養護老人ホームなどの施設も不足している。その対策を急ぐために、厚生労働省は2017年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて」をまとめた。それによると、新オレンジプランは7つの柱から成り立っている。

Ⅰ認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進。Ⅱ認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供。Ⅲ若年性認知症施策の強化。Ⅳ認知症の人の介護への支援。Ⅴ認知症の人を含む高齢者に優しい地域づくりの推進。Ⅵ認知症の予防法や研究開発。Ⅶ認知症の人や家族の視点の重視と7つの柱で構成されている。

その中から、建築に関わる柱をみてみると、Ⅳ認知症の人の介護への支援の一つとして、認知症の人や家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有する「認知症カフェ等」の設置。Ⅴ認知症の人を含む高齢者に優しい地域づくりの推進の「生活しやすい環境(ハード面)の整備」が記載されている。例えば、転倒防止のためにつまずきやすい場所は段差をなくして階段や廊下の照明を明るくする、室内は使い慣れた物を置き、模様替えは出来るだけ避ける等。そして、介護する人にも介護しやすい環境を作ることが必要とある。しかしながら、医療機関や高齢者施設の整備は遅れているのが現状である。相談に応じる専門医、症状をケアできる介護職が圧倒的に足りず、専門人材の育成も遅れているようである。

今後、高齢化が進むために、現状において介護する側もされる側も認知症という「老老介護」が登場してくる。
40~50代が親の介護のために離職するケースも目立つ。実際に私の義弟は、母親の介護のために離職した。また、
認知症を患いながらひとりで暮らす高齢者世帯の増加も進む。そんな社会で私達は何ができるのだろう。そして、高齢者はどのような生活をしていけば良いのか不安が募るばかりである。

全国建築計画物件情報「KJ-NET」概要

全国建築計画物件情報「KJ-NET」基本活用編

TOP