今年も残すところ後2ヵ月。調査設計の打合せ、支援企業のプロデュ―ス、講演会と忙しい日々を送っているが、毎年、秋風が吹くこの季節になると思い出す。それは、20年前のパリの思い出。秋風とパリとシャンゼリゼ通り。この言葉からロマンチックな出来事を連想すると思うが、そんな余裕があっただろうか。気遣いと不安と冷や汗でグタグタのパリ。それは、今までパリに行った事もない。フランス語も英語もろくに話せない。そんな私が、パリに行きたくて企画した海外視察の話です。
その海外視察とは、パリで2年に1回(11月)開催される建設見本市「バティマット」の視察。バティマットとは、開催期間5日間。出展企業1700社。訪問者27万人。60年間も続いているヨーロッパ最大の建設見本市で、建設のマーケティングを生業にしている私にとっては、行きたくて・見たくてたまらない見本市。一人で行こうと思ったものの、どうせ行くなら建設に関わる企業も一緒にと、JTB飯田橋支店に企画を持ち込み、1999年と2001年の2回に渡って視察を実施。募集人員は25名。最少催行人員10名の視察企画でした。

1回目の企画は、1999年11月7日~14日の日程で、始めの3日間はバティマットを視察。4日目は、パリに本社を置く世界最大の断熱材メーカーの協力を得て、ヨーロッパ建設市場のセミナー開催と断熱材メーカーとの昼食会。セミナー終了後には、パリからロッテルダムに移動し、5日目から、ロッテルダムの集合住宅や運河倉庫をホテルにコンバージョンした建築物を視察。そして設計士の話。セミナー開催もロッテルダムの視察も事前に、先方の企業から承諾を得ていたので、企画に関しては自信があった(自己満足)。

よ~し! これなら募集人員25名は直ぐに集められると営業を開始したものの、残念ながら参加人員は5名(私を入れて6名)。最少催行人員10名にも届かなかった。1回目から成功する考えが甘かった。本来なら中止すべきだろうが、JTBの担当者が“JTBの添乗員は付けられないが、パリとロッテルダムの現地ガイドは手配出来ます“と、提案をしてくれた。初めての海外視察企画、そして私が引率者(団長)。不安ではあったが、不安よりも行きたい思いと、参加者の気持ちを考え、視察を催行する事に決めた。
出発当日の成田空港。参加者の皆さんに、催行人員が足らなかった事、添乗員が付かない事、そして、団長の私がフランス語も英語もろくに話せない事を伝えると、皆一斉に“えっっっ!”と驚きと不安な顔。今思えば無謀な視察企画でした。シャルルドゴール空港に着きゲートを出るまで不安で心臓がドキドキ。ゲートで視察パネルを持ったガイドさんを見つけ、ようやく気持ちが落ち着いた。パリもロッテルダムもガイドさんに助けられながら、見本市や建設現場を視察。事故もなく無事に成田に戻った時は、緊張が解け、全身の力が抜けたのを思い出す。頼りない団長の下で、皆で乗り切った感が強い海外視察でした。そして、この経験が、2年後の2001年、2回目のバティマット視察を実施する事になる。2回目の話は次回につづく。今回のバティマットは、2019年11月4日~8日までパリで開催。懐かしい。この季節になると思い出す。