3月号も引き続き、「衣・食・住」の住(建築)と食品の関わりについてお話したい。日本の食卓には、魚料理よりも肉料理が並ぶ事が多い。特に、子供は肉料理が大好きである。なぜ魚料理を食べる事が少なくなったのか。それは、肉料理と比べて調理が面倒な事が挙がられる。焼いたり、煮たり、さばいたり、魚が身体に良い事は分かっていても、共働世帯が多い現状では、確かに調理は面倒である。
しかし、その背景には、マンションの暮らし方が、魚料理をしにくくさせてきたと思う。なぜなら、魚を焼いた臭いや煙りが、隣り近所に流れることを嫌がるからである。今は、グリル付きキッチンやレンジフードがあるものの、その影響が今も残っている。焼き魚を食べたかったら、スーパーで買って、電子レンジで温めれば良い時代かもしれないが、出来れば子供の前で、魚を調理して欲しい。
和室についても同じ様なことが言える。和室はここ20数年間で、3分の1に減少していると聞く。その理由は、ご存知の様に建築物の洋風化が背景にある。和室が無くなる事で、畳や襖や障子の生産量が減少。こたつの生産量も減少。こたつを囲んで食べたミカンや和菓子、お茶の出荷量も減少。これらの減少は、やや強引かもしれないが、和室減少も要因の一つかもしれない。数年前に、マンションリフォーム向けに「組み立て簡易和室」を開発した企業の支援を行った事があるが、導入までに至らなかった。
マンションが焼き魚料理に、和室がミカン等の食品に影響を及ぼしているとするなら、日本食文化を、より豊にする為にも、建築のあり方から考える必要がある。快適な建築と健全な食事は、切っても切り離せない関係であり、それが子供の食育にも繋がると思う。