今回は、前回の真夏の思い出から真冬の思い出の話です。それは、マイナス気温の真っ暗な朝方5時頃の出来事。場所は、新潟県神立高原スキー場。その思い出とは、真冬に行ったタイヤチェーン調査の思い出です。手足や顔が寒くて痛かった。調査の依頼先は、タイヤメーカー。調査目的は、ゴムタイヤチェーンを商品開発する為に、ドライバー200名に面談アンケート調査を実施せよ!・・・でした。神立高原スキー場の駐車場で、車内で仮眠しているドライバーが、タイヤに装着しているのは、金属チェーンか?樹脂(ゴム)チェーンか?またまたスタッドレスタイヤか? その購入理由、装着方法、走行感の課題を導き出す調査でした。
調査担当者は、私を含めて4名。スケジュール1泊2日。前日に宿に入り翌日早朝4時起き。調査は5時スタート。調査員1名の有効目標数は50名(総数200名)。何故、早朝調査をしたのか。それは、日中はドライバーがスキーをしているのでつかまり難い。夕方は、帰り仕度でゆっくり回答してもらえない。早朝なら、日帰りで滑りたいドライバーが、夜中に現地を発って車内泊している。また、日の出と同時に滑りたいドライバーが駐車場にやって来る。集中して効率的にアンケート調査するには、その方法がベストと判断したからです。
確かに計算では、その通り。しかし、計算通りに行かないのが調査。何故なら、車内泊しているドライバーを起こしたら当然怒られる。早朝に来たドライバーも疲れて仮眠したいのに、アンケートに付き合う余裕はない。もっと最悪なのは、朝方まで猛吹雪。想定外。吹雪いているし、眠いのに、フードで頭を覆った全身雪だらけの調査員が、暗闇の中でフロントドアを叩いてボーッと立っていたら、驚いてドアを開けてくれるはずがない。アンケートに回答してくれるドライバーは少なく、見事に玉砕。さすがに心が折れた。仕方なく、一旦仕切り直し。宿のお母さんが作ってくれたおにぎりを休憩所で食べながら戦術を練り直した。
再度、開始したのが、吹雪が多少おさまり、明るくなった7時頃。ドライバー達が車から降りて、リーフキャリアからスキー板を外し、ゲレンデに向う準備をしている時を狙って調査再開。アンケートに回答してもらいやすくする戦術として、温かい缶コーヒーを用意した。 ドライバーに“おはようございます”と話し掛け、温かい缶コーヒーを手渡し、アンケートの協力をお願したら、拒否されるケースが少なく、見事に缶コーヒー戦術が大成功。昼頃まで時間は掛ったが、ようやく目標数200名を達成した。やはり、調査は心理学である。
数日後、クライアントの会議室で、アンケート結果について議論を交わしたら、いつになく、開発責任者の顔色がさえない。どうもタイヤ部門から、スタッドレスタイヤと競合する商品を開発するな、と言われたらしい。命がけは大袈裟だが、猛吹雪の中で辛い調査をしたのは、何だったのか。そんな事、事前に部門間で話し合っておいてくれよ。そんな忘れられない真冬の調査でした。