5月と言うのに真夏の暑さ。歩く健康法は分かっていても、こんな時は、ついつい涼しいタクシーに乗ってしまいがち。先日、タクシーに乗ったら忘れ物。領収書を貰っていたので、その会社へ連絡し無事に忘れ物が届いた。今さらながら領収書は有り難い。今は当たり前になっている「タクシー領収書発行機」。その領収書発行機、実はニーズが有るか否か30数年前に調査を行った事がある。当時、タクシーの領収書は手書き。それを発行機でプリントアウトしたら運転手の手間も省け、お客様も早く下車でき便利ではないか、と計測機器メーカーから調査依頼。

因みに、タクシーが手書き領収書を開始したのが1977年。今から約40年前。当調査を行ったのが30数年前だから、その約10年の間に、領収書を書く方も貰う方も時間がかかり面倒だったと思う。計測機器メーカーは、そこに着目。調査対象は、タクシー会社5社(管理部門担当者)と運転手200名(東京都地域別)。調査方法は、タクシー会社は事務所で面接調査。運転手には、実際にタクシーに乗ってお客の立場で調査。

調査条件は、ワンメーターの距離で領収書を貰う事。ワンメーターの距離を乗っては降り、降りては乗って、まるで探偵が人を尾行している様。タクシーに乗っては、“すいません領収書もらえません?”。“領収書希望するお客さんってどの位います?”。“手書きって面倒でしょう?”。 と話しかけると “ワンメーターで領収書をくれと言うお客さんの方が面倒臭いよ”と。 確かにその通り。なんせ仕事だから仕方ない。つかさず “領収書発行機があれば便利だと思いません?” と言うと“操作する方が面倒だよ”。この様なやりとりを約2ヶ月間。一方、タクシー会社では、便利で良いとの評価ではあったが、投資額や運転手に指導するのがやはり面倒くさそう。そんな否定的な結果だったが、それが、今ではタクシーに当たり前に領収書発行機が付いている。
この様な調査は、ガソリンスタンド調査でも経験をした事がある。ガソリンスタンドのフルサービスが当たり前の頃(約30年前)、将来ガソリンスタンドはセルフスタンドになる可能性があるか否か調査。その結果、日本のガソリンスタンドはサービスが大切なのでセルフスタンドになりにくいと回答するスタンドが多かった。しかし、深層調査をすると、サービスは時間がかかり面倒。ドライバーも忙しい時のサービスは必要ない、と回答する人が多く、1998年頃からセルフスタンドが現れ、今はフルサービスが減少しセルフスタンドの件数が伸びている(ガソリンスタンドの絶対数は減少)。
これらの調査で学んだ事は大きい。それは、人は課題を事実として分かっていても、改善する行動には臆病である事。課題があっても日々の習慣に慣れて、新しい行動を起こしたがらない事。
もし、本当にタクシー領収書発行機が面倒な機械なら普及するはずがない。セルフスタンドも同様である。不便な事、面倒な事を改善するところに開発ニーズが有る事を実際に学んだ調査でした(つづく)。