「チョット! ここで何してるの?!」女性の大きな怒鳴り声で、背中越しに怒られた。
今で言うなら、そこでボーっと立ってんじゃないよ!!チコちゃんに叱られる的な。急に怒られたのでビックリ。慌てて振り返り『すっ、すいません・・・』。なぜなら、その場所、スポーツクラブの女子更衣室だったんです。不審者に思われたくなく、言葉にならない言葉を発しながら顔が真っ赤に。目の前には年配の女性が怖い顔で仁王立ち。女性がいないことを確認し更衣室に入ったのに。フロントからも許可ももらったのに。後ろに女性がいたなんて。確認不足でした。そんな女子更衣室の出来事でした。

なぜ、私が女子更衣室に。それは、今から約20年前、新しく開発した吸音天井板のマーケティング支援の一貫として設計指定活動をしていた時の話です。
その天井板は、吸音効果に優れ、スポーツクラブや体育館、劇場やホール等の反響音を嫌う空間に有効な天井板。
その天井板の需要開拓先として、千葉にある会員制スポーツクラブに訪問。
女子更衣室の天井板が湿気で傷んでいるし、話し声が響いて聞こえづらいと、事前にスポーツクラブのオーナーから問い合わせがあり訪問。決して不純な気持ちで入ったのではありません。背広姿で片手に大きな汚い紙袋(天井板のサンプル)、脚立も持たず、ボーっと天井を見上げていたのがまずかったとは思います。怒鳴り声を聞いたフロントの担当者が飛んできて、事なきを得ました。恥ずかしいやら情けないやらでした。

続いて、「何これ?設計デザインじゃなくて漫画イラストだよね!」と笑われた。
この設計活動は、亀戸にある精密機器工場で約100名収容できる社員食堂。
その社員食堂、建屋が古く建て替えするには費用と時間がかかるので、せめて天井板だけでも取り替えたい。
その意向を事前に確認し、弊社の企画担当者と一緒に訪問。1回目は依頼事項を聞き社員食堂の見学。2回目は天井板を用いた社員食堂の設計デザインと見積書の提出。ここまでは当たり前の営業プロセスですが、一つだけ違う点が。
それは一緒に同行した企画担当者は、マーケティングのプレゼン資料を制作する担当者で、設計図面を書くデザイナーではありません。設計図面を書いた事もありません。当然分かっていましたが、直ぐに設計デザイナーが見つからず、企画担当者に「任せるから自由に書いてみて」と言ったら、それが漫画風イラストでした。さすがにまずいとは思いましたが、時間もなく、為せば成る精神で、漫画風イラストを提出。やはり呆れ顔で笑われました。これもまた恥ずかしいやら情けないやらでした。
弊社の生業は、あくまでもマーケティング会社。それまでは設計指定活動をした事はありませんでした。初めての経験なので失敗の繰り返し。でも、その失敗が印象深かったのか、以上の2案件は採用が決定。弊社の役割は、天井板の市場調査と営業データの制作でしたが、マーケティング支援を受託した以上、何としても結果を出したく、自ら設計指定活動を行った結果、天井板が採用に至ったのは嬉しかったですね。基本的には商品が良いからだと思いますが。勿論、劇場や大ホール等大規模案件や技術的説明が求められる場合は、メーカー担当者と同行訪問でした。その苦い経験が設計事務所、ゼネコン、施主等へ訪問する「ACTマーケティング」の開発に繋がっています。恥ずかしいやら情けないやらが、とても懐かしく思えます。