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土木の本紹介 「暗橋」で楽しむ東京さんぽ暗渠にかかる橋から見る街

最新の土木工事情報を配信している弊社のD-NET。これから建設予定の工事情報を数多く配信しています。新しいものがあれば古いもの・撤去されるものもあるのが必然。今回は「橋があった痕跡」にクローズアップした本をご紹介。


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※「読んでみたい!」という方はネット書店もしくは、本屋さんや図書館で書名・ISBNをお伝えするとスムーズです。

 

暗渠ならぬ暗橋とは?

暗渠化や埋め立てによる川の痕跡、特に橋の痕跡を『暗橋』(あんきょう)と定義して、その痕跡を散歩しながら見ていこうというのが本書のテーマ。その暗橋というのは橋跡であり例えば欄干や親柱(橋の両端にある柱で橋名が書かれている場合が多い)があるとの事。ほかにも水門や水車、弁財天、銭湯(排水の為)、車止め(暗渠を守る為)などが暗渠を探る上での目印になるとのことだ。

普段通っていたあの道にも

本書に書かれていた暗渠・暗橋コースはエリアごとに分かれており、その中でも気になったスポットをピックアップしたい。まず銀座エリアの行(くだり)で紹介されていた三原橋。私自身も訪れたことのあるスポットでもあり、ノスタルジーを刺激された。『銀座シネパトス』という映画館があったところでレトロな雰囲気のあるシアターだった。

その時の内部構造を思い出してみると、通りの両脇が出入口になっており、「なるほど川の堀の跡を活かして作られていたのだ」と数十年ぶりに合点がいった。
また、渋谷エリアの行でも東口地下広場において、渋谷川の暗渠を見上げるスポットがあることも驚いた。地下2Fゆえにカルバートに覆われた川が頭上を流れているというのだ。「普段何気なく通っていたところにも痕跡が眠っている」という興味深い気づきを与えてくれた。

普段通っていたあの道にも

本書で物には機能的価値と情緒的価値があると語られていた。橋の場合、前者は利便性となり、後者は精神的な境界、出会いや別れの場ともいえる。
新しい橋にはまだ機能的価値しかないが、人が利用することで情緒的価値が積み重なってくるものだと考えさせられる。暖かくなってきた折、本書を片手に痕跡探しを兼ねた散歩はいかがだろうか。

(担当:片岡 優介)

 

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