調査物語

建設業界が食品業界へ参入

建設業界のリサーチ&マーケティングを生業にしている弊社が、食品業界に参入したのが約13年前。その参入動機は北海道稚内のゼネコンが地元で採掘できる珪藻土の使用用途を発見したいので調査をして欲しいと依頼があったこと。その調査活動をまとめたレポートを後日ゼネコンへ提出。それを北海道の公的機関がみて、そのレポートと同じ視点で冷凍石狩鍋、海鮮茶漬けの調査が出来ないかと依頼されたことが食品業界に参入した始まりである。
因みに、冷凍石狩鍋は石狩市の工務店、海鮮茶漬けは雄武町の道路骨材採掘業者がオーナーで、彼らにおいて食品業界は新規参入であった。

国土交通省・財団法人建設業振興基金によると、建設業新規参入分野応募テーマ総数428事業の内訳は、観光分野が31.1%と圧倒的に多く、次いで農業分野21.7%、環境分野14.7%、林業分野13.1%、水産業分野3.7%、福祉分野1.6%、その他14.0%の順になっている。上記の中で、食品分野は農業と水産業となり、建設業から新規参入するケースは多い。特に地場農産品・水産品をブランド化し、新商品の開発を行うことを通じて地域活性化を図る中で建設業としての関与を見だしていくという形態を志向している。

そこで建設業界から食品業界へ参入したユニークな取り組みをしている企業を紹介したい。
それは、生産・物流施設、マンション、商業施設などの建設工事や官公庁の土木工事を手掛ける三和建設(大阪本社)が熱中症対策商品として21年に「ゼネコンがつくった3Kしおゼリー」を発売したことである。同商品は機能性食品素材を取扱う岩瀬コスファ(東京本社)と共同開発した商品である。

しおゼリーの特徴は①1本あたり約0.15gの塩分配合 ②肌には欠かせないセラミド(こんにゃくセラミド)配合(約5mg/包)  ③肌の潤いを保つコラーゲン(約10mg/包)配合 ④ビタミンDを多く含む白いきくらげ(約50mg/包)配合 ⑤キシリトール配合により冷涼感をプラス ⑥マイルドな「瀬戸のほんじお」を使用 ⑦選べる5種類のフレーバー(マスカット、ライチ、ビターレモン、ブドウ、リンゴ) ⑧税込価格4,320円 ⑨内容量10g×100包 ⑩賞味期限12ヵ月。

厚生労働省によると、熱中症による業種別死傷者割合は建設業が2021年で23%となる。製造業16%、運送業11%をはるかに超えて1番多い。それを背景に、工事現場で働く社員や職人の熱中症予防で健康を守りたいと、しおゼリーを工事現場で配ったところ好評だったため、1年かけて商品化をしたのがしおゼリーである。
「きつい・汚い・危険」の3Kの建設業界の負のイメージが思い浮かぶが、しおゼリーの3K「こんにゃく、コラーゲン、きくらげ」という3つの美容成分は、熱中症予防だけでなく日焼け対策などの美容ケアにも配慮した。

23年は建設業界が目指す新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)と足並みをそろえ、3Kしおゼリーとして販売に取り組む意向であり、しおゼリーは21年に21万5千本、22年には31万本と本数を伸ばし、23年は60万本の販売を目指している。建設業がしおゼリーを開発するとは発想が面白いですね。

ゼネコンがつくった3Kしおゼリー

 

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