調査物語

建材サンプル問題に商機あり

以前に設計事務所から、メーカーからサンプルを取り寄せるのが面倒だし、事務所にサンプルがたまり、捨てるに捨てられない。御社でメーカーのサンプルを集めて、設計事務所の問い合わせに応じて都度配送してくれないか、そして用済みのサンプルを引き取ってくれないか、そんな仕組みが出来れば新しいビジネスができると相談されたことがある。

確かに、壁紙にしても種類が多く、織物調、石目調、塗り壁調といった風合いに模様や色の組み合わせなど、それこそ無数にある。上場企業のサンゲツやリリカラといったメーカーの他に日本壁紙協会に見本帳を掲載している企業だけで17社を数える。どれだけデジタル化が進んでいても、最終的にはサンプルで実物を確認しなければ十分ではない。これはフローリングやタイル、石材といった建材全般に共通する。設計士やデザイナーが、新たに建材を採用する検討材料として、メーカーからサンプルを取り寄せる行為がなくなることはないと思う。

自分なりに建材サンプル問題を解決するにはどうすれば良いのか、どこから手を付ければ良いのか、そんなことを漠然と考えていたところ、2023年1月建材サンプル問題を解決する米国発のサービスが日本に上陸した記事を読んだ。それは「Material Bank Japan」である。

Material Bank Japanは、多様なメーカーの建材サンプルを1つのサイトで素早く検索でき、深夜0時までの注文で、最短翌日に一箱で受け取れる建材サンプルマーケットプレイス。複数ブランドの横断検索・一括請求システムと確立された物流設備により、設計士やデザイナーは無料でサンプルを取り寄せ業務の効率化が実現。不要になったサンプルは、トレーに入れて同梱の着払い伝票で送り返せばいい。2019年よりサービスを開始している米国Material Bankの実績は、北米だけで10万人を超える設計士やデザイナーが利用しており、一日あたり約8万個の建材サンプルを届けている。Material Bank Japanにおいても、同等のサービスレベルを目指す。

Material Bank Japanのサービス開始の背景は、日本国内の建材市場は2025年度には
1兆9,782億円と予想されるなど、引き続き拡大傾向にある中、裁量労働制も多く業務時間が長くなりがちな設計士やデザイナーの働き方改革が求められている。米国Material Bankが行った調査には、設計士やデザイナーが業務時間の約4割を建材サンプル探しと取り寄せに使用していたという結果がある。

プロジェクトで必要な建材サンプルは、例えばひとつの空間設計に

おいても壁装材、床材、天井材など多岐にわたり、業務フローでは、多くのメーカーから個別に、カタログ、見本帳、Web検索、電話、FAXなど、異なる取り寄せ方法で発注し、さらにバラバラのタイミングと異なる規格で届いた梱包を受け取り、開封し、サンプルを仕分け、梱包材を廃棄するという煩雑な作業が発生。この様な煩雑な作業を可能な限りシンプルにすることがMaterial Bank Japanのサービス。3年以内に10万人ぐらいが使うサービスをめざしている。
是非、日本でも米国同様に成長曲線を描けることを期待したい。

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